看護師という職業は、かつては「看護婦」と呼ばれており、主に女性が就く職業として認識されていました。当時看護婦は専門的医療知識が必要ないとされており、病人の世話をする召使いとして見られていました。社会の常識や体制を変えようと思うと大変なことですが、必ずどこかで改変のチャンスは起こるものです。
1854年のクリミア戦争が勃発した際、負傷兵の扱いが悲惨なものだと伝わり始まり、ナイチンゲールは従軍することに決めます。彼女はシスターや看護婦を引き連れ兵舎病院に行きましたが、不衛生・物資不足に愕然とします。まず初めに便所掃除を徹底させ衛生管理を行い、着任後死亡率は一時40%まで上昇しましたが、のちに5%まで下がっています。看護師が「白衣の天使」と言われる由縁は当時のナイチンゲールの偉業に由来しています。
のちに病院の状況分析を行い、数々の統計を提出したことから、イギリスでは統計学の先駆者とされています。ですが、赤十字などのボランティアでの医療活動には否定的であり、赤十字活動には一切関りがなく、むしろボランティアでの救護団体設立には反対していました。ナイチンゲールに「自己犠牲のみで行われる活動は長続きしない。経済的支援なしには無力である。」と言う考えがあったためです。決して自己犠牲が悪いわけではありませんが、人は何かしらの報酬、利益などがない限りそれは苦痛になるだけであり、自己破滅に追い込む結果になるというのは、個人的にも同感です。看護の在り方について徹底的に向き合ったナイチンゲールの働きは、今現在でも多くの人々の命を助けています。ナイチンゲールについてもっと詳しく>>>《ナイチンゲールの想い》